[附巻0072]【十九年、東竜寺の住僧盛海、内金宮を改修す。】唐栄の東に一山林有り。山高からずして秀雅、林大ならずして茂蔚す。而して其の神は、弁財天女(中国の斗姥)と曰ふ。至聖至霊にしてイりて応せざる無し。常に人民を守護し、不祥を呵禁して、名を世に知らるること已に久し。昔より来、四面に石を築きて垣を作り、樹木を栽植して竟に其の地を封じて、以て崇信を為す。万歴年間、日本山城国の人、重温なる者有り。琉球に雲遊し、其の神に許愿す。数日を閲せざるに、塗に一婦女に遇ひて炉を買ふ。価は但数銭なり。而して家に回りて之れを観れば、即ち黄冠金なり。重温、旧に依りて以て還さんと欲し、更に携へて出づ。果して其の婦女に遇ふ。婦女曰く、吾は乃ち弁財天女なり。汝の志、嘉すべし。故に特に之れを送ると。遂に清風に化して去る。此れに因りて、重温、宮を其の森の東に建て、以て便ち恩を謝し名づけて内金宮と曰ふ。後亦、秀昌・重次等継ぎて拝殿を建つ。今に至り鶴城の使者は必ず石燈を竪て、或いは資金を発して、宮殿を修葺す。是の年、東竜寺の住僧盛海、宮殿を改修して以て堅牢を為す。亦神像を請安して、以て祭祀に便す。