[附巻0120]【十三年夏六月、祝部大夫利開基、始めて管笛を神楽内に補すを以て、故に利氏に新参家譜を賜ふ。】内侍祝部奏する所の神楽は、鐘鼓と管笛とを用ひて、以て神霊に格る。是れ正式なり。然れども本国は、古より只鐘鼓を用ひて、管笛無し。又御願文・御守札・啓白の祝詞等の諸式を知らず。利開基(金城筑登之親雲上智安)幼より其の役に志し、数々薩州に入り、精しく諸式を学びて、以て前の未だ備はらざる所を補ふ。是れに由りて、祝部及び護国寺・臨海寺の住僧、寺社奉行・吟味等の官と、其れを以て、欠を補ひ、器を足す。厥の功、倫無し。且、国主より以て官民に至るまで、求愿する所有れば、則ち祝部大夫、之れを神霊に達す。其の職軽からず。請ふ、新参家譜を賜ひて、以て其の積を旌し、嗣後、無譜の人をして、其の職に任ぜせしむるを得ず等の因王に奏す。王焉れを允す。