［附巻0140]【三十一年四月十一日、慶良間島新垣仁也の功労を褒奨す。】薩州移文して云ふ、慶良間島渡嘉敷村の新垣仁也は、上届申年、内之浦直庫弥右衛門のふ所と為り、其の水手と為りて本州に到る。其の中華に在りて、製紙の法を肄習するに因り、戌年以来、其の伝ふ所の法を試せしむ。果して諸品の紙を製して、尽く公用を達す。因りて其れをして永く本州に居らしむと。新垣、其の由を家中に寄伝す。母云ふ、老母及び妻は乃ち女身に係りて、薩州に到り難し。生む所の児は、年十六に至れば、則ち当に請ひて薩州に赴くべし。其の内、汝早く暇を告げて回国し、以て相見ゆべしと。是を以て、新垣、近年の内、国に到りて、老母と相見え、即ち便船に駕して貴州に回来せん等の由を禀請す。請ふ所を准すを蒙る。且末だ回国せざるの間、毎年銭十貫文（是れ和目なり）を発賜して以て老母を養ふを蒙る。茲に薩州の令を奉じ、新垣多く公用を備ふ。応に其の功を奨して筑登之位に叙すべし等の因前み来る。遵即に筑登之位を奨賜す。