[附巻0180]【本年、倭船一隻の姑米山に漂到する有り。】此の年十月十六日、白帆海船一隻、姑米山具志川郡小泊の外洋に漂到する有り。即ち、小船一隻を漕ぎ出して、其の来歴を問はしむ。称に拠れば、柏原の権次郎船に係り、通船共に二十一名有り。其の内一名は、喜界島の人に係る。洋中颶風に遇着し、帆檣を}去し、貨物を抛棄するも、尚本船の保ち難きを見、通船の人等一同、杉板に移駕し、風に任せて漂流す。正に万死一生の際に在り。誰か皇天の保佑、此に到りて活命するを想はん等語と。只、飢餓の状有るを見、即ち帯びて蔵元に到り、粥を給して飢を充す。既にしてエムを供給するの外、更に送るに米醤・柴薪・蔬菜等の件を以てす。該難人等、鉄鍋・大米等の件を借るを請ふ、随ひて即ち允准す。且該難人等、求めて杉板を修葺して那覇に駕到せんと請ふ。随ひて即ち、鉄釘・材木を発給し、更に工匠をして力を合せて堅修せしむ。既にして宰領人を遣はし、該船に坐駕して那覇に解送す等の由、該島の員役朝廷に詳報す。