[附巻0187]【本年、罰して、向汝霖亡恩河親方朝恒の爵位を奪ふ。】向汝霖、曾て薩州に在るの時、新納太郎左衛門殿、再三之れに問ひて曰く、仄聞するに、座喜味親方は、本州の米穀を運売する有るの時に遇へば、必ず壌酒を禁じて、其れをして帯び帰らしむ。且荻籍を減少して民をして、所を失はしむ。且役質を減失して、士をして吃虧せしむ等語と。爾、宜しく実に拠り回覆すべし等の由。今固より此くの如くんぱ、応に毫も此の事無きの処を将て再三回話すべきに、乃ち云ふ、其の聞く所と少しも相左する無しと。但に此れのみならず、更に不法の挙を致す。本より、応に六年、姑米山に放流すべし。但、身故するに因り、爵を奪ひて罪を示す。