[附巻0210]【本年、与那国島に多く物件の流来する有り。】与那国島は、去年大風の時に当り、喜屋武野浜に、多く抹塗各色の板片流来する有り。更に其の板片の内、金画蔓草の者有り。是れに由りて之れを准すに、恰も夷船艙頭の飾に似たり。且長間浜に、此くの如き板片より以て人の左脚に曁ぶまで流来する有り。随ひて飭して該浜に埋下し、石を立てて標記せしむ。只馬場崎に在りては、多く物件の流来する有り。謂ふに必ずや此の一帯に在りて、船隻を損破せるならん。但彼の処は、但に高さ十六丈許の険阻なるのみならず、更に風猛潮急の処に係り、以て細さに其の跡を尋ね難し。因りて熱水者に飭して水をオちて、錠・釘・金類及び帆桁・繩等の類を探得するの縁由、該島の在番、朝廷に禀明す。是れに由りて、板片・帆桁・繩等の類を将て、例に照して焼弔し、金器の類を将て薩州に奉進す。