[附巻0266]【本年、久志郡辺野古村の十一端地船有りて洋中颶に逢ひ太平山に漂到す。彼の山開船の後、又復颶に逢ひ、朝鮮に漂到し、方めて回国するを得たり。】此の日、久志郡辺古村の他船、此れ与那原村の喜屋武筑登之親雲上の借る所に係る。該村に運到せんとし、半洋に駛到す。ユに逆風に逢ひ太平山に漂到す。彼の山開船し、又暴風に遇ひ、有る所の楫子、波に打たれて漂ひ、大檣小檣を伐断し、貨物を白「して、風に随ひて漂流し、朝鮮に漂到す。随ひて、地方官の、楫檣・小麦四俵・活鶏六十隻・醤油二沸・小魚十五z・菜油五合を恵給するを蒙る。既にして該国開駕の後、檣子壞に就き、駕回し難きを覚ゆ。遂に五島内岐宿村に収到す。随ひて、該村の、檣木曁び皮米七俵・精米一斗・豆醤三升を発給するを蒙る。即ち大小の檣子を改造し、該地開船して長崎内港に収到す。随ひて地方官の、白米二俵を恵給するを蒙る。該地開船し、天草に収到す。該地開洋し、運天港に回到す。