［附巻0208]【本年、去年、小禄郡儀間村の渡慶次筑登之の九端馬艦船、洋中颶に逢ひ、山東省に飄到し、彼の地開洋して福州に来到し、該地開洋して回国の時、復颶に逢ひ、麑島に飄到して、今年籍に回る。】此の年、小禄郡儀間村の渡慶次筑登之の九端馬艦船、通船十六名、八重山辺棹の時、風波猛起し、貨物を打弔して、風に随ひて飄流し針路方を失ふ。用水・柴薪等の項に至るも、亦底を徹して用ひ尽し、正に万死一生の間に在り。幸に山東省登州府栄成県地方に飄到し、即ち該県官員の水・薪・菜等の項を撥賜し、更に毎人棉襖各一領を派給するを蒙る。福州に護送するの時に至りても、亦行糧を撥賜するを蒙り、且舵工二名を遣撥して坐駕して引導するの外、更に兵船を遣撥して之れが守護を為す。且各省府に至りても、亦兵船を遣撥するを蒙り、之れが守護を為して、福州南台地方に解送す。随ひて即ち、海防官、球館に転交し、旧例に依照して、厚く保養を行ふ。且難民の内、其の一名は、上海洋面に在りて病に染みて身故す。即ち埋葬を行ふ。其の二名は、福州に在りて病故し、即ち埋葬を行ふ。福州開洋するの時、復逆風に遇ひ、麑島県に飄到して、今般以て回籍するを得たり。