[本文0002]【天孫氏  附記天孫氏の治世。】天孫氏は乃ち天帝子の長子にして、始めて国君と為り、天孫氏と称す。既にして交譲相伝ふること凡そ二十五紀、乙丑より起して丙午に尽る。一万七千八百有二年を歴る。皆天孫氏の裔孫なり。蓋し以ふに、天孫氏の初、澹泊無為にして、民俗淳僕なり。而して書契未だ興らず。月の虧盈を望みて、以て時節を紀し、草の栄枯を候ひて、以て年歳を定む。継治已に久しく、民俗自ら化して、衣冠飲食・画野分郡、悉く備はらざるは無し。然り而して、世遠く人湮びて、名氏伝はらず。故に其の代の事合せて記す。