[本文0054]【元旦・冬至、城内に吹鼓す。】往古の時より、除夜の五更より卯時に迄るまで、螺赤頭等三時吹鼓する有り。且元旦・冬至・正月十五日、勢頭官、吹鼓手をして楽器を庭上に排安せしむ。即ち評定所里之子二員有りて、甬道の左右に立ち、既に辰刻に到りて頭鼓し、辰半刻に再鼓し、巳刻三鼓すれば、則ち百官以て朝賀の礼を行ふ。窃かに世譜を按ずるに、洪武年間、メ人国に抵りて、礼楽を制作して以て国に教ふ。此れよりの後、音楽洋々乎として耳に盈つること中国と異ならずと爾云ふ。是れに由りて之れを考ふるに、本国の音楽、三十六姓よりして始まること已に疑無し。