[本文0065]【十五与、閹者数人を明の成祖に進むるも受けず。】中山王、使を遣はし、閹者数名を進む。成祖曰く、彼も亦人の子なり。罪無くして之れを刑す。朕何ぞ忍びんやと。礼部に命じて之れを還さしむ。礼部奏して曰く、若し之れを還せば、遠人帰化の心を阻むを恐る。請ふ、但勅を賜ひ其の再進を止めよと。成祖曰く、之れに諭するに空言を以てするは、之れに示すに実事を以てするに若かず。今還さしめざれば、彼朕に媚んと欲し、必ず踵を継ぎて来る者有らん。天地は物を生ずるを以て徳と為す。帝王、乃ち人類を絶つべけんやと。卒に受けず。時に山南王・山北王も、亦各使を遣はし方物を貢して元旦を表賀す。