[本文0066]【佐敷按司巴志、義兵を起して王の罪を討つ。】武寧、荒浮度無し。其の人に非ざるを用ひ、諫者は之れを罪し諛者は之れを悦び、先君の典刑を壊覆す。国人敢へて怨み、而して敢へて言はず。時に佐敷按司巴志、父を継ぎて民を治む。賢士を進め不肖を退け、功有る者は必ず賞し、罪有る者は必ず罰す。威名大いに振ひ、遠近帰服す。是の年、巴志歳二十二。武寧の驕奢度無く民を虐げ政を廃するを見て、卒に義兵を起し、来りて其の罪を問ふ。武寧、慌忙として軍を催し拒禦す。奈んせん諸按司戸を閉し枕を高くして、曾て之れを救ふ莫し。勢孤にして力弱く、以て扞禦し難く、之れを悔ゆるも及ぶ無し。竟に城を出でて罪に伏す。諸按司、巴志の父思紹を奉じて君と為す。