[本文0124]【附尚円王未だ位に即かざるの前屡々奇事有り。】尚円王未だ位に即かざるの前、屡々奇事有り。王、年二十歳にして一時に父母を失ひ、孤窮甚だ極まる。是れ一の奇事なり。民田旱涸するも、王田水盈つ。是れ一の奇事なり。島民嫉忌し、屡々之れを殺さんと欲す。王、孤窮と雖も終に害を加ふる能はず。是れ一の奇事なり。国頭に至るも亦此くの如し。是れ一の奇事なり。仕を尚徳の朝に受くる者、多く殺戮せらるるも、王のみ独り屡々諫めて殺害せられず。是れ一の奇事なり。鳴呼、天命の主に非されば、烏んぞ能く是の如くならんや。