[本文0128]【蔡譲の女亜佳度、資を捐して祠を建て、神主を奉安す。】唐栄の通事蔡譲の女亜佳度、笄に及びて嫁し、舅姑に孝事し、其の夫に順従す。未だ数載を経ざるに、其の夫世を棄つ。時に、亜佳度年十七。義を守りて寡居し、終に嫁意無し。父母、其の少くして子無きを恤れみ、将に之れを改嫁せしめんとす。亜佳度、堅く執りて従はず。父母、其の心志甚だ堅きを見て、乃ち止む。亜佳度、紡績織謔オて以て恒業と為し、年を歴て蓄積す。成化壬辰に至り、地を唐栄の東北にトし、自ら能く資を捐して祠堂を創建し、以て蔡氏の神主を安んず。且亜佳度意想へらく、宋朝の忠恵公、万安橋を造る。時に観音の現聖有りて此の橋を成す。今世に至るまで海清く国泰くして万民風濤の険阻を免るる者は、此れ誠に忠恵公の功徳にして、観音の霊幇の係る所なりと。是れに由りて亜佳度、観音を祠堂に奉じ、亦以て崇信す。亜佳度、年五十一にして卒す。