[本文0140]【尚宣威、尚真幼冲の故を以て、権りに大位に登る。】尚宣威、尚真幼仲の故を以て権りに大位に登る。是の年二月、陽神君手摩、出現す。尚宣威、以て慶賀の礼と為す。而して例に照し、衣冠を穿ちて王位に坐す。尚真、其の側に侍坐す。旧例は、国君位に即けば、君君・諸神、賀を作し、必ず内殿より出でて奉神門に至り、後、東面して立つ。奈んせん此の日、皆西面して立ち、旧例と異なる。満朝の臣士、驚き疑ひて措く無し。頃間ありて諸神託宣する有り、世子尚真を以て君と為すと。尚宣威、託言を聞き諸臣に謂ひて曰く、尚真、幼冲なりと雖も、誠に是れ命、世の真主なり。爾等宜しく心を同じくして輔翼し、以て邦家を保つべし。我は其の命に非ず。強ひて大位を践めば、恐らくは天に戻ること有らんと。遂に尚真を奉じて君と為す。而して在位六個月にして越来に退隠す。