[本文0190]【日秀上人、石碑を浦添の金剛嶺に建つ。】首里より浦添邑に往くの間に、一高嶺有り。松樹茂盛し、濃陰重々たり。而して人姻隔つること遠く、最も幽僻の地たり。昔時、此の地甚だ妖怪多く、時々出で来り、詐変異貌して屡々行路の人を悩ます。日暮の時、人之れを驚惧して敢へて往来せず。時に日秀上人有り、金剛経を小石に写し、之れを此の嶺に埋め、即ち碑石を建てて以て妖魔を圧す。其の碑石に金剛嶺の三字有り。此れより来のかた、妖怪復は起らず、而して行旅の人も亦往還の安きを欣ぶ。