[本文0193]【呉起良、室屋を尚維衡に捐助す。】呉氏家譜に云ふ、王の長子尚維衡公、曾て呉起良(中西親方宗義)の婿夫たり。一日、維衡罪を王父に獲、遠く逐放せられて浦添城に隠居す。是の時に当りてや、其の城郭毀壊し、宮殿荒蕪して、瓦廃れ垣頽れ、鞫りて曠野と為る。是れに由りて起良、其の室屋を献じ、宮殿を助造して維衡公を奉安す。万暦己酉年、此の宮殿も亦倭乱に遭ひ以て焼灰を致すと。