［本文0197］【百工の衣冠を制定す。】明朝の世、大朝礼を行ふのとき、群臣皆紗帽を戴く。今世に至り、王始めて百官を定め職を分ち、且此の六色のを製し為る。而して其の紫・黄・紅・緑・青を以て、貴賤を定め上下を分つ。而して紫・黄は貴と為し、紅・緑之れに次ぎ、青又之れに次ぐ。又一に曰く、王、浮織紳を銘刈子に賜ふ。銘刈子、頭に纏ひて冠と為し、而して入りて以て朝覲す。王大いに之れを喜悦し、遂に浮織冠を賜ふ。厥の後、亦浮織有り。赤黄紫緑墨地に五彩を以て雑織する者は、乃ち王子弟及び諸按司の冠なり。又紫緑赤色暗花浮織なる者有り。百官、功徳有れば、多く此のを賜ふ。紫は、親方の冠なり。黄は、御鎖側より親雲上に至るまでの冠なり。赤は、里之子・筑登之及び諸士の子弟未だ爵位に叙せざる者・並びに諸郡理及び家来赤頭の冠なり。緑は、諸郡邑掟及び螺赤頭の冠なり。青黒は、賤輩の冠なり。昔、螺赤頭並びに諸島掟は、皆之れを頂戴す。今は亦然らず。