[本文0208]【若狭町の衛氏、白銀を掘獲す。】嘉靖年間、那覇若狭町邑に、衛氏(具志川月春)なるもの有り。其の人と為りや、生質篤恭、心廉直に存す。一日、祖野崎に出でて、以て戯遊を為すの時、忽ち一老翁有りて、浜辺に過来し、砂を掘りて物を埋め、忽ち清風に化して去る。月春深く之れを奇怪とし、往きて其の処に行き、其の埋むる所の抄を掘り起して、以て之れを観看するに、即ち黄金・白銀の其の坎内に堆する有り。月春大いに驚き且怪しみ、敢へて稍しも動かず。暫時にして喜悦して曰く、我此の祥に遇ふ。乃ち天祐之れを錫ふなりと。遂に黄金・白銀を取りて家に帰る。