[本文0352]【十七年、鳥島、地震ひ風暴し、沙を飛ばし、波を起し、石燈を吹き出す。】鳥島の一処、忽然地震ひ、山岳響動す。申刻に至り、颶風驟かに起り、怒濤驚走して、滄海中より一石燈を吹出し、波に随ひて浜に至る。数時を閲せずして、沙を飛ばし石を走らせて村舎を壊却す。且漁船を将て、土中四五尺に埋蔵す。此の時、婦女一人、石礫の撃つ所と為りて死を致す。是れに由りて、村邑の男女、大いに之れを畏懼し、深洞に逃去し、以て其の害を避く。遂に以て酋長・民人、朝廷に奏聞す。