［本文0364］【毛栄清、貢物に瑪瑙等の物を献ぜざるを請奏し、且凉傘及び五方旗を帯び来る。】毛栄清（喜屋武親方盛勝）、貢使と為りてに到る。撫院等の官、転じて北京に題す。聖祖、詔して曰く、琉使、万里の波濤を凌ぎて、北闕に来朝す。労煩恤むべし。後日より表章及び方物は、福州に貢すべしと。琉使深く之れを憂嘆し、恭しく呈文を具して云ふ、明朝以来三百余年、貢使に逢ふ毎に、表章及び方物等を齎捧して、必ず北闕に赴き、恭しく聖禧を祝す。未だ福州に留滞すること有らず。伏して乞ふ、憲台、憐みを遠人に垂れ、丹に転奏し、仍、北京に赴きて、以て貢物をめんことをと。督撫曰く、勅命已に下る。敢へて准依せずと。毛栄清等、再び呈文を具し、後貢より京に赴きて納貢せんことを請乞す。督撫等の官、転じて以て陛下に題奏するに、幸に兪允を蒙る。又具奏して請ふ、貢物の内、瑪瑙・柤香・降香・木香・束香・丁香・黄熟香・烏木・錫・象牙等の項は、他国の産に係る。球国の出産に非ず。此の十項を除くの外、以て球国の土産を献ぜんことをと。世譜に云ふ、常貢の外、紅銅六百・黒漆竜画螺盤十個を加進し、称して外貢と為す。外貢、此れよりして始まると。亦皇上、其の請を許すを蒙る。又回りてに在るの時、忽ち諸侯の竜紋凉傘を見、潜然其の凉傘の縁由を問ふ。即ち鄭思善と相共に商議して、良匠夫をして、其の凉傘並びに五方の旗＜五方旗＞を作らしめ、乃ち公銀四十両を発して、買ひ得て帯び来り、上覧に奉備す。此れより以来、本国、大朝の時に逢ふ毎に、必ず丹の下に建て、以て排飾を為す。