[本文0558]【始めて獅子形を建てて八重瀬嶽に向け、以て火災を防ぐ。】東風平郡富盛村は、屡々火災に遭ひ、房屋を焼失して民其の憂に堪へず。是れに由りて村人、蔡応瑞(唐栄の大田親雲上)に請乞して其の風水を見せしむ。応瑞、遍く地理を相し、之れに嘱して曰く、我、彼の八重瀬嶽を見るに、甚だ火山に係る。早く獅子の形を作り、八重瀬に向くれば、以て其の炎を防ぐべしと。村人皆兵の令に従ひ、獅子石像を勢理城に蹲坐せしめ、以て八重瀬に向く。爾よりして後、果して火災の憂を免るるを得たり。