[本文0584]【二十五年、総地頭温允傑、銭を借して民を済ふ。】佐敷間切は一たび凶年に遭ふや、多く賦税を欠く。此れよりの後、百姓甚だ疲れ、力の施すべき無し。康煕癸酉、屡次暴風ありて五穀未だ登らず。而して国朝用に乏しく、急ぎ補納するを催すも、人民倚告する所無く深く之れを苦焦す。総地頭温允傑(森山親方紹基)、之れを聞き之れを憫み、銭八千貫文を将て百姓に借与し、賦の欠を完補し、納補悉く清せしむ。後日に至り、民をして漸次納償せしめ、其の利息を免ず。是れに由りて間切の居民依然として安し。