[本文0594]【翁自道、黄薯を帯び来りて以て国に植う。】蕃薯に数種有り。皮赤く実白なる有り、皮・実倶に白なる有り、皮赤く実黄なる有り。是の年、翁自道(伊舎堂親方盛富)なる者有りて黄蕃薯を、メよりして帯び来り、以て之れを家宅に植ゑ、以て繁昌を致す。而して各処に分ち与ふ。其の蕃薯は独り別種と異なり、風を凌ぎ寒に耐ヘ、繁蔓蕃衍して四季衰べず。尤も民をして利を得しむ。