[本文0618]【[尚貞王]三十年、異獣、海より出でて馬歯山外礁に坐す。】渡嘉敷郡理及び横目等、海浜を巡視するに、忽ち異獣、海中より出でて黒島外礁に坐居するを見る。其の獣の身体、黒犢に似て、面と耳目とは豚の如し。四脚指間に、幕蹼有り。而して眼毛及び髪は倶に是れ潔白にして、長さ五六寸許り、尾は直竪して長さ一尺許り、周囲三寸余の大なり。吼声牛の如く、蹲坐すること犬に似たり。理等、大いに之れを怪しみ驚き、回りて邑長に告ぐ。翌日大いに衆民を催して倶に往きて之れを見るに、其の逃去する所を知らず。