[本文0668]【赤田神及び夫の仁徳を斬処す。】首里赤田村に、仁徳なる者有り。其の妻、巫術もて衆を惑はし、自ら称して神と為す。士民崇信して、以て赤田神と称す。後日に至り妄りに鬼神を言ひて、世を惑はすこと已に甚だし。其の夫、仁徳は、妖婦を娶りて已に久しく、明らかに其の事を知る。但資銭を貧りて其の為す所に任せて敢へて禁止せず。是れに由りて、国相・法司等、密かに其の罪を定め、命を請はずして、其の夫婦を捕へ、同じく斬罪に処す。