[本文0716]【里之子籍より貶せられて筑登之と為る者、御右筆・御茶道と為りて当座敷に陞り、並びに功を積むこと甚だ多き者は、仍本籍に擢んづることに改定す。】本国の士臣は、皆譜牒有りて、以て家籍を定む。或いは里之子と為し、或いは筑登之と為し、或いは新参と為す。而して擢んでて官爵を賜ふこと、亦一斉ならず。里之子籍は、素、筑登之たる者の子孫にして、生質敏捷、博く技芸に通じ、擢んでて御右筆及び御茶道を授け、而して当座敷に陞する者、仍、里之子籍を賜ふ。筑登之籍は、聡明非凡にして、才能已に精しく、実に御右筆及び御茶道と為り、已に褒美を蒙り、当座敷に叙せらる。然り而して其の子孫は、父の位に管せず、仍、筑登之籍と定む。里之子籍の人、擢んでて里之子を賜はり、後、勢頭職に任じ、未だ当座を歴叙せず、早く已に世を辞すれば、則ち其の子孫は、仍、里之子位を賜ふ。里之子籍より、貶せられて筑登之と為り、数世を歴て子孫に至り、才智絶倫にして、功を積むこと甚だ多ければ、其の功を褒美し、即ち輔臣をして僉議せしめ、擢んでて里之子籍と為す。然り而して黄冠を戴きて、筑登之親雲上と称する者は、倏然之れを擢んでて、里之子親雲上と改め難し。延いて、陞官に至り、改めて当座敷を賜ひて、以て里之子籍と為す。