[本文0917]【始めて国王及び王子・按司・親方、時時、朝冠を換用するを禁じ、以て百官、朝衣冠を用ひ、或いは朝冠色衣を用ふることに定む。】国王及び王子・按司・親方は、素、其の品級の衣冠有りて、以て尊卑の分を定む。然り而して、其の冠は、時時換用し、未だ一にして定まらざるに似たり。窃に其の規を按ずるに、国王は多く赤地錦五彩浮織冠を用ひ、正・五・九月、各処の神社に拝謁し、並びに諸僧、職を授かりて、拝謝するの時の若きは、只紫地錦五彩浮織冠を用ふ。毎月朔望の日は、黄地錦五彩浮織冠を用ひ、甘雨を祈る時は、青地錦五彩浮織冠を用ふ。王子・按司・親方は、冬至・元旦・正月十五日の若きは、悉く各位品級の衣冠を用ひ、鎮守官を宴する時、王子は紫地錦五彩浮織冠を用ひ、按司は紫地五彩浮織冠を用ふ。聖駕に接回し(国王の出外及び普天間神社に謁して旋る)、及び甘雨を祈る時、王子及び按司は黄地五彩浮織冠を用ひ、法司及親方は黄色綾冠を用ふ。佳節・朔望には、王子及び按司は紫色浮織冠を用ひ、法司及び親方は黄色綾冠を用ふ。是の年に至り、始めて定む、百官悉く其の品級の衣冠を用ひ、他色の冠を用ふるを許さずと。且、定む、大朝及び大礼に係る時、百官、皆朝衣冠を用ひ、小朝及び小礼に係る時は、皆朝冠・雑色衣を用ふと。