[本文0956]【八重山野底村を創建して黒島の民人を分移す。】八重山黒島は、本島を相離るること海路五里の外に在り。田地甚だ狭く、人民増繁し、飲食堪へ難し。川平村属地に一曠野有り。名づけて野底と叫ぶ。泉甘く土肥え、宜しく五穀を種うべし。黒島の民人、往来には舟を用ひ、田を耕し地を鋤き、以て労苦を為す。是れに由りて、在番官・酋長呈請して、彼の島民人四百余名を分けて、此に移居せしむ。乃ち之れを叫んで野底村と曰ふ。因りて与人一人・目指一人を設けて総理せしむ。