[本文0958]【八重山高郡村を創建し、離島等の民人を分移す。】八重山古見・西表両邑の間に、茫々たる曠野有り。名づけて由珍と叫ぶ。泉甘く土肥え、宜しく五穀を種うべし。且繋船の港有り。宜しく村邑を建つべきの地なり。小浜村の百姓は、尽く由珍の地に頼りて、以て耕鋤を為して食営するを得たり。然れども、小浜は由珍と相隔つること海路四五里許り。耕種を為す毎に、只、舟を用て往還し、労苦極まること甚だし。是を以て、在番官・酋長呈請し、離島等の民人六七百名を分ちて、此に移居せしめ、乃ち之れを叫んで高那村と曰ふ。因りて与人一員・目差一員を設けて総理せしむ。