［本文0962］【都通事蔡其棟・大文金文英・宰領魚苟美・世功等、前站詐匿する所の站銀を査出して、乃ち褒賜を蒙る。】昔より貢使の上京する毎に、皇上、意を球人に加へ、経る所の駅站毎に銀両を賜ひ、以て日給と為す。福州人三名、前站役と為り、貢使を引導し、経る所の駅に到り、先づ站銀を領し、而して後に球人に授与す。雍正庚戌の年に至り、王舅向克済・正議大夫祭文河、使を奉じてに赴き、転じて上京す。時に特に訳通事謝道武を召して曰く、前站帯ぶる所の勘合、詐匿有るを疑ふ。若し詐冒して顕はれずんば、恐らく皇上遠人を柔するの至意に違はむ。汝、心を用ひて査験せよと。道武命を奉じて之れを査ぶるに、詐匿する所の者、果して四百余両有り。遂に以て査出す。是に王舅・大夫相議し、前站役を革去し、其の帯ぶる所の勘合を取りて、即ち宰領をして各駅に帯去せしめ、以て抄牌と為す。此の時、都通事蔡其棟（具志親雲上）・大文金文英（津嘉山里之子親雲上安垣）・宰領魚苟美（比屋定筑登之親雲上普成）・世功（金城筑登之順珍）四員相共に前站役を兼ね、北京往還し、労苦甚だ大なり。乃ち蔡其棟・金文英に、糸綿各々三把を、魚苟美・世功に各々二把を褒賜す。