[本文1004]【屋嘉比邑耕作当宮城、新に其の井水を造る。】大宜味郡屋嘉比邑は、井水有ること無し。遙かに邑南五百余歩の外に出で、亦絶懸の巌下に至り、川に臨み水を汲みて、以て用水と為す。而して小径にして嶮嶇、往還艱難にして人民深く憂ふ。是の年、耕作当宮城、遍く四辺を巡り、深山の内より、椎起の川水を引き来ること共計八百余歩、或いは小溝を造り或いは水筧を為り、注いで村外に至り、井を掘り水を貯へ、以て人民の労を免ず。