[本文1059]【伊平屋島に一雌鶏の母を失ふの鶏雛を抱育する有り。又牝豚の母を失ふの小豚を乳哺する有り。】我喜屋村文子西銘の畜ふ所の鶏母、雛を育てて五日にして死す。其の雛、母を失ひて哀鳴す。早く其の同胞の雌鶏有りて之れを育つ。夜は則ち抱伏し、日は則ち引啄して之を長ぜしむ。田名村の池田掟親雲上に一猪母有り。子を生みて八日にして斃る。時に其の同胞の猪有りて懐孕す。即ち其の小猪を乳哺して以て之れを養ふ。未だ幾ばくならざるに、此れ亦子を生む。一斉に哺育す。