[本文1076]【始めて諸邑に田地を分把して、預め儲蓄に備ふことを定む。】諸邑の人民、年に私田の米穀を出して、以て儲蓄を致す。則ち貧乏の民は、必ず富家に借りて義倉にア積す。而して日に利息を増し、借銭甚だ極まり、遂に敗家を致す。若し其の邑の人数、田地を算得し、皆農力を同じくして以て耕耘を為し、其の収むる所の米穀を将て、以て儲蓄を致さば、即ち貧乏の人も他家に借ること無く、民人已に安んぜん。是れに由りて、始めて、諸邑の田地、数畝を分担して名づけて義田と為し、民人力を同じくして共に其の田を耕し、其の収むる所の米は、以て貯蓄を致して、預め凶荒の用に備ふることに定む。遂に其の田を名づけて、俗に貯田と叫ぶ。