[本文1118]【西原間切棚原村の城間、三次父に売られ、三次自ら贖ひて親を養ふ。】棚原村に城間掟親雲上なる者有り。年十三の時、父之れを売りて債を償ふ。成人するに及び、主人其の力を竭すを見て、米二俵を賞す。則ち以て運営す。年十八に至り身を贖ふ。父又売りて以て債を償ふ。後主も亦其の力耕を奨して銭百貫文を賜ふ。則ち之れを営みて利を生じ、夜は私田を耕し、二十三歳に至り身を贖ふ。其の債尚未だ清楚せず。因りて又売らる。昼は則ち主田を耕し、夜は則ち私農を治め、年二十七に至り贖ひ回る。此れより千営万運、乃ち富を致し以て親を養ふ。又妹四人有り。倶に父に売られ、落ちて人下に在り。皆之れを贖ひて以て親の悦を致す。年三十九に至り、聞得大君御殿に供役し、黄冠の位を拝す。