[本文1125]【平安座八端太良、力、大なること常と異なる。】与那城間切平安座村に兄弟三名有り。其の力人に過ぎ、能く八端帆を担ぐ。其の兄一名は、容貌絶倫、膂力尤も異常なり。人皆之れを叫びて八端太良と曰ふ。本村より那覇に致るに、路遠きこと八里、其の米一石を挑ひて那覇に来到し、公庫に交納して即日回り来り、敢へて遅滞せず。又能く大独木船を負ひて、岸より水に下し、水より岸に上ぐること一羽を挙ぐるが如く、略々気喘無し。家業頗る富み、子孫蕃衍す。身体壮健にして、寿、老耄に至り乾隆丁巳死す。是の年に至り、倹官及び総地頭、文を具し其の事を禀明す。是れに由りて之れを此に紀す。