[本文1151]【屋宜の孝行を褒し、爵位并びに物件を賜ふ。】屋宜は、乃ち真和志郡安謝邑の人なり。父母貧乏にして日を度ること堪へ難し。乃ち已むを得ず、屋宜を他家に売る。其の屋宜人と為り、性質仁惇、親に事へて至孝、亦主に車へて誠を尽くす。或いは夜暇有れば、自己の田を耕して、以て父母の日用を補ふ。主人即ち其の行を見て、心甚だ憐を為し、屡次暇を許し其れをして耕耘せしむ。屋宜洪慈に感激し、愈々心力を尽くし昼夜懈らず。既にして数年を歴し、伏して身を償ひて即ち父母の家に回り、以て奉養を致さんことを乞ふ。遂に欠債を償還し、又姉弟を償ひ、父母をして安心せしむ。又親族・村人と相交りて和睦、又稼穡の事を将て、叮嚀に之れを教へ、以て一村の便と為る。此れに由りて、黄冠位并びに白木綿布二端・綿子一把・島中布二端を褒賜す。