[本文1212]【十二年春正月、越来郡、邑を遷す。】本郡安慶田邑は、大風に逢ふ毎に、房屋を吹損し、屡修に堪へず。兼ねて日用の泉水も亦遠く川河を隔て、風雨に当る毎に、以て往還し難し。且民居は地狭く、生歯日に繁く、誠に処の居るべき無きを恐る。今、夫の竹口原は、地広く泉多く、又風雨の憂無し。且里水も亦田圃に灌概す。是を用て、其の村の此の地に遷るを准す。