[本文1297]【九月始めて首里・泊・久米村・那覇の民夫を役使することを定む。】是の歳瘟疫流行す。傭人居少なるに因り、世上巳むを得ず、貴き工値を発して夫をレふ。奈んせん疫止むの後に至りても、尚貴き工銭を求めて、甚だ役使を礙ぐ。権りに且らく各県の民夫を用ひ、以て役吏に備ふ。但疫癘の後、正に農務の急に在り。若し此の時を違ひて役使せば、誠に以て民の困窮を増さん。暫く県夫を免役し、首里・泊・那覇・久米村等の処に額定し、毎村主取各一人・筆者各二人・百姓頭各三人を設立して、之れをして民夫を管束せしむ。各公所、夫を使ふの時に当りては、毎月初一日より起して初十日に至るまで、真和志平等の民、役に供し、十一日より二十日に至るまで、南風平等の民、役に供し、二十一日より三十日に至るまで、西の平等の民、役に供することを額定す。各々民をして輪流して供役せしめ、其の上夫は工値二貫文を給し、中夫は一貫五百文を給して、暫く旧立の脚頭を廃す。