[本文1340]【皇上特に国王に緞疋・玉器等の物を賞す。】本年の冬、王、耳目官向翼東風平親雲上・正議大夫毛景昌喜瀬親雲上等を遣はし、京に入りて進貢す。風不順なるに因り、翌年五月、方めて福建に到る。十二月、前みて徳州に往く。時に山東撫院の、琉球貢使大寒の時、連夜上京し、貢使等の如きは、当に衣服欠くる無かるべきも、但従人等は衣服足らず、甚だ労苦を致すを憐念し、乃ち皮衣を捐発し、令を本地の州官に伝へて、与力以下十六名毎名各一件を恤賜するを蒙る。但撫院衙門は、遠きに在りて親謝すること能はず。伴送官と同に商量して具禀し、其の州官に帖請して、以て謝礼を為す。已に上京進貢するに及び皇上の隆恩を叨蒙す。正賞を除くの外、特に国王に各色の緞疋・硯・玉・玻璃・瓷器等の件を腸ひ、正副使に各色の緞疋・銀両を賜ふ。又皇上、大廟を祭り、礼成りて還宮の時、正副使・都通事、旨を奉じて百官及び朝鮮・南掌・暹羅等の国の使者と同じく、鴛鷺の班に随ひて聖駕に跪接す。時に暫く聖鑾を停め、特に大臣を遣はして旨を伝へ、国王の平安を問ふを蒙る。遵ひて即ち托福なることを回奏す。又預め旨を奉じ、寵宴の品物を賞賜す。皇上、紫光閣に駕臨するの時、朝鮮等の国の使者と与に、恭しく聖駕を迎へ、其の露台に在りて、王爺班末に随ふを得て、満州御茶及び寵宴を頒賜するを蒙る。且其の庭に在りて、正使に各色の緞十六疋・荷包五対・盃一個を賞し、副使に各色の緞八疋・荷包三対・盃一個を賞す。又皇上、円明園に幸するの時、恭しく聖駕を迎へ、前みて其の地に赴くや、寓を園外の人家に賜はり、屡次朝鮮等の国の使者と与に御前に召入して御宴を頒腸し、演戯・烟火・盤扛・獅舞・相撲等の芸を賞看するを蒙る。又正使に緞子三疋を賞し、副使に緞子二疋を賞す。従人に至りても亦宴を賜ふ。留在すること十有一日、方て公館に回る。其の余の公務、例の如く全く竣り、福州に回至するの時、副使毛景昌、浦城県に在りて病故す。癸卯の年に于て正使向翼、回国して復命す。