[本文1351]【九月十六日、国頭郡謝敷村の大城仁也の善行を褒賞す。】国頭郡謝敷村謝敷原地方に、出米六石余の田有り。天水田に係り、小旱なれば則ち稲禾熟せず、大旱なれば則ち播種するを得ず。百姓皆愁苦を致す。其の村に、大城仁也なる者有り。心を尽し、慮を発し、其の村耕作当併びに山当等と上届未申両年、辺伊口川地、高さ六十歩の処より水溝を決開すること其の長さ二百五十歩余、掛樋の長さ三十五歩、水を引きて田に注ぐ。此れより以後、其の田、天旱を防ぐこと有りて、穀数を全穫す。已に六个年を歴て、屡々大雨に逢ふも、並しも水損無し。是れに由りて之れを見れば、後来に至りても、以て全きを保つべし。而も永代の便と為らん。又山野の間地も、伊等、検束して蘇鉄を植ゑしめ、凶歳の饑を防ぐこと有り。此れ、亦村人の便と為す所なり。挙村の百姓及び各役、其の事を報明す。此れに因りて、大城併びに勤労者三人を嘉奨し、各爵位を賜ふ。