[本文1382]【伊平屋島諸見村の前の西銘親雲上の善行を褒賞す。】伊平屋島諸見村の前の西銘親雲上は、掟役より保長・夫地頭・総山当役に至るまで、勤職已に十九年なり。又御臍所御番と為り、今に迄るまで已に十九年にして、敢へて怠慢せず、以て勤弁を致す。且掟役に任ずるの時、能く教令を加へ、有る所の諸税、遅滞有ること無く、全く納清を為す。又島中の綿子当に任ずるの時、心を留めて教令す。是を以て毎年奉納の綿子、或いは二百八九十把、或いは三百十四五把なり。又奴僕を使ふに、甚だ叮嚀を以てし、其の内、困乏の者及び能く主人に事ふる者は、贖身の時、其の価米を考免す。又奴僕、主家に在りて子を生む者は、贖身の時其の子価無くして恤給す。又甥両人に至りては、篤く寵愛を為し、内に日食続ぎ難き者有れば、奴婢并びに米穀を送給す。又幼稚の時、父母を失ふ者は、家に移して撫養し、已に成人に及ぶや、其れをして妻を娶らしめて以て門戸を立つ。若し親族困乏なる者に至りても、亦米銭を考給す。常に村人と交るに和睦を以てし、人皆深く感ず。此れに因りて、保長及び掌管役等、由を備へて朝廷に報明す。随ひて、勢頭座敷位を賞賜す。