［本文1937］【三十九年庚戌冬、貢使馬継謨等を遣はす。皇上、特に国王及び使臣に物件を賜ふ。】耳目官馬継謨・正議大夫陳天竜等、表を捧げて進貢す。風順ならざるに因り、翌年八月、前んで福建に到る。十二月上京す。叨しく、皇上、正賞を除くの外、特に国王に大緞二疋・福字方一百幅・大小の絹箋四巻・雕漆の茶盤四個・湖筆四匣・硯二方・徽墨四匣を賜ひ、正使に各色の緞紬布二十九疋・金鞘の小刀一把・大荷包一対・小荷包八個を加賞し、副使に各色の緞紬布十九疋・金鞘の小刀一把・大荷包一対・小荷包四個を加賞し、朝京都通事・留辺通事・河口通事に各色の緞紬布各々四疋を加賞し、朝京大筆者より以て跟伴三十二名に及ぶまで、布各々一疋を加賞するを蒙る。又常宴の外、屡々正副使を御前に召して、茶曁び寵宴・克食の餅菓肴等の件を賜ふ。且三次親しく盃酒を賜ふ。又使臣在京の時、毎日の養膳は例として礼部衙門の掌管に属するも、此の番、特に軍機大臣和大人に命じて、其の事を総理せしむ。是を以て養膳前に較べて従優す。又特恩を蒙り、有る所の四駅館路遠くして、行礼の時に逢ふ毎に、冒寒の労苦有るに因り、館を西華門外会計司衙門に賜ふ。都て是れ額外に出づる鴻恩なり。其の余の公務、例の如く全く竣り、癸丑帰国す。