[本文1400]【本年、八重山島大川村の成原仁屋の、匠を習ひ用に備ふるを褒賞し、筑登之位を賜ふ。】八重山島大川村の成原仁屋は、幼年以来、匠工に志し、木匠・金匠・錫匠・鉄匠・屈木匠・漆匠・轆匠・補鍋匠を嫺習し、蔵元及び島中の器を製作し、以て其の用に備ふ。夫れ本島は遠く海洋を隔てて、器具欠缺し、便ならざる所有り。独り成原一人の力に頼りて、以て島中の用を為す。又貧窘者に于ては、一両年を寛くして其の価銭を収む。故に己の為に便多からず。況んや金・錫・屈木・漆・鍋等の匠は、唯成原一人有りて、能く島中の用に備へて、以て利益を為すをや。特に酌量して功を賞するを祈る等の由、在番・頭目由を具して前み来る。仍つて筑登之位を賞す。