[本文1401]【本年、八重山島盛山村の波照間仁屋の、農に老いて事を益するを嘉し、筑登之位を賜ふ。】八重山島盛山村の波照間仁屋は、農圃に老い、衆の習ふ所と為る。故に島中漸次産業に老ゆ。又親族縁家曁び島人と交際して和睦し、又歳納の賦税、敢へて逋せず。又己酉の年に于て、来年貢賦の内より、預め粟米を蔵に納むること一石六斗余零なり。又其の居る所の村に于て、赤貧者九人有り。乃ち旱田三千五百余坪、産する所の薯を派賑して、以て食用に資す。又島中の百姓、嘗て波濤・疫癘・饑饉等の災に遇ひて以来、心懶り気縮み、委靡して振はず。独り波照間、群を離れ、類を絶して、農賦懈らず。特に嘉賞して衆に勧むるを祈る等の由、具文して前み来る。仍つて筑登之位を賞す。