[本文1402]【本年、八重山島登野城村の平田仁屋の、類を出でて税を諭すを嘉し、筑登之位を賜ふ。】八重山島登野城村の平田仁屋は、能く家業を営み、材質頗る裕かなり。毎歳、賦税を納清し、敢へて逋すること無し。嘗て己酉の年に于て、来年貢賦の内より、預め粟米を蔵に納むること一石余零なり。伊に男子四人・女子四人有り。常に善く教導す。故に男は皆、諸座の手代併びに筑佐事等の職を勤む。已に戸を分ち、爨を異にする有りて年貢怠らず。女子四人は、共に于帰する有りて、女工に通じ、年に公布を織る。其の人と為りや、亦皆善し。況んや彼の平田は、生質厚実にして、常に親族・縁家・島人と交際して和睦するをや。其の内、エム敷かざる者十有二人有り。乃ち旱田四千八百余坪、所産の薯を派賑して、以て食用を資く。又彼の島人、邇年以来、疫癘・飢饉に遭遇し、都て貧窘の憂に坐して、賦税を納め難し。只平田一人のみ、能く賦税を諭す。島人の比すべきに非ず。待に褒賞して衆に示すを祈る等の由、在番・頭目具文して前み来る。仍つて筑登之位を賞す。