［本文1424］【兼城郡糸満村上原仁屋の救溺の功を褒賞す。】兼城郡糸満村の上原仁屋、三月十三日、村人と小舟に駕し、慶島洋面に在りて魚を捕ふ。是の日、座間味郡阿真村居民五人有りて、四枚帆船一隻に坐篤し、那覇に在りて貿易し、将に本籍に帰らんとして、駛せて慶島洋面に到るや、風波猛起し、坐船覆沈す。通船五人、帆檣に靠着し、波に随ひて漂流す。是の時、上原等、風波大いに起るに因り、帰棹の間、其の危難を見、早速漕ぎ来り、拯ひて舟内に載せ、衣を穿ち食を吃せしむ。前慶良間に漕ぎ到りて、能く療治を加へ、気息愈ゆるを見て阿真村に送到す。且上原は、上届辛巳・壬午両年に、馬歯山の人壞船の時、既に溺死を救ふ。今、三次人命を拯助するを以て、茲に難に遇ふ五人並びに掌管各役、朝廷に禀明するに、筑登之位を奨賜す。