[本文1426]【兼城郡糸満村上原筑登之等の、人命を救ふの功を褒賞す。】去年十二月二十六日、国頭郡奥村の人共計七名、那覇に赴かんとし、五端帆船一隻に駕し、本村に在りて放洋す。今年正月初六日、喜屋武郡洋面に停泊す。翌日彼の地放棹し、駕駛するの間、風浪乍ち暴して、船已に沈溺す。合船人数、帆モに抱着し、波に任せて漂流して、死亡せんこと必せり。幸に、兼城郡糸満村の上原筑登之・玉城筑登之・玉城筑登之・上原仁屋・玉城仁屋・大城仁屋等有りて之れを見るや、即刻小舟三隻に駕し、漕ぎ来りて彼の七人を救ふ。本村に携へ来りて、尽く調摂を加へて、遂に死命を見るるを得しむ。其の本船に至りては、村中に告知して、小舟数十隻を撥して、以て浜辺に牽き上ぐ。且上届辛巳・壬午両年、国頭・渡嘉敷・座間味三郡の人、破船の時も亦悉く救助す。今に至りて三次、人命を救活す。仍りて、上原・玉城・玉城三人に黄冠位を賞し、上原・玉城・大城三人に筑登之位を賞す。