[本文1429]【兼城郡糸満村の大城筑登之等の功労を褒賞す。】種子島船の舵工甚五左衛門、船隻に駕して、今年正月大島開洋するや、逆風に逢着し、処々投錠して、遂に久高島に収入す。海道に駕熟する者を雇ひて、那覇に運抵せんとして、駕して糸満村洋面に到る。奈んせん錠を投ずべきの処を知る者無く、深く以て憂と為す。幸に、大城筑登之・金城筑登之・玉城仁屋・金城仁屋四人有りて、小舟一隻に駕して、正に漁を為すの間、彼の船、之れを見て、引導を為さんことを求む。彼の四名、其の船に駕して、投錠を指教して、以て湾泊を為す。此れより管駕して那覇港に到る。此くの如きの功労は、例として援くべき有り。乞ふ、四人の功労を表旌すれば、則ち後年の勧と為すに庶からんと。彼の船の舵工、御社番箚記を請ひて、朝廷に禀明するに、大城・金城に黄冠位を賞し、玉城・金城に筑登之位を賞す。