[本文1432]【八重山島平久保村の加那世大浜の善行を褒賞す。】八重山島平久保村の加那世大浜は、能く農業を務め、諸凡の貢賦、逐年清楚す。前年本村の内、安良村の耕作を査験するの職を授くるを准す。大浜、心を尽くして弁理す。前年秋より以来、饑饉荐りに加はり、挙村日食敷き難く、儘く餓リに及ぶ者有り。是に于て、倉米を発給し、済賑を行ふと雖も、勢継ぐこと能はず。是を以て資を捐して、米九斗・蘇鉄三千七百五十斤を発給して、以て農業を勧む。粟・麦等の種を欠く者有るに至りては、粟一斗五升・麦六斗四升を発与す。又三人の饑餓する者有り。米九升を与へて、之れに資食して死亡を免れしむ。但に此れのみならず、任職奉差の功を歴有す。褒奨を賜はんことを祈る。在番・酋長等具詳して朝廷に禀明す。随ひて赤八巻位を賜ふ。